東京高等裁判所 昭和49年(ネ)1883号 判決
控訴人は表見代理を主張するが、本件全証拠によるも被控訴人が松下千嘉夫に対し上沼秀人との保証契約の締結に関し代理権を授与したことを認めるに足りない。もっとも被控訴人は昭和四七年一二月松下の要請で松下が上沼秀人より金員を借受けるに当り、これを保証する意味で松下振出の約束手形に裏書のうえ、これを松下に交付し、松下は右手形を上沼に借用書代りに差入れて金員を借用したことは前記引用にかかる原判決の認定のとおりであるが、これによれば被控訴人は右手形に自ら裏書きしているのであって、右裏書なる手形行為の原因関係が松下が上沼から金員を借用するについて松下のため保証するにあるとしても、右手形が借用書代りに差入れられたことからすれば、被控訴人が右手形に裏書きしたことはその原因関係の面においては自ら書面によって保証の意思表示をしたものというべきであって、松下は単に右意思表示を上沼に伝達したに過ぎないから右をもって被控訴人が松下に対し保証契約に関する基本たる代理権を授与したものということはできない。
(浅沼 加藤 園部逸)